こんにちは、ひでです。
ベロオリゾンチを出発して、7月23日の朝、ブラジリアに着きました。
ブラジリアは「首都になるための都市」としてまったくのゼロから計画され、1960年に建設を完了。
リオデジャネイロから首都がうつされて、世界でも類を見ない「歴史の無い首都」が誕生しました。
遷都からまだわずか50年ちょっと。
なんとウチの両親よりも若い!笑
ブラジリアでは宿に泊まらず、大きな荷物をバスターミナルに預けて、一日だけ出歩いて街を見てきました。
ブラジリアは、飛行機の形を模してデザインされています。
これも「ゼロ」から作られた街だからこそ、なせるワザですね。
……この場合の「なせるワザ」って、どの字が正しいんだろう。
成せる? 為せる?
技? 業?
検索してみた感じでは「為せる業」っぽいけど、なんかシックリこない……詳しい方、ぜひ教えてください!
歴史の無い都市、ということでファンタジーっぽさはあんまり期待してなかったんだけど、この手書きの都市設計図にはイイ雰囲気を感じました。
飛行機の機首にあたる部分には「三権広場」があります。
ここで言う「三権」とは、国会議事堂・最高裁判所・大統領府の三つです。
国会議事堂。
左側のお椀みたいなのが下院、ちょっとビルの陰になってますが右側のお椀を伏せたようなのが上院らしいです。
最高裁判所。
過去の不公平な裁判のことを忘れず、教訓とするための「目隠し裁判の像」があります。
三権広場には、ほかにも「労働戦士の像」が立っていたり、巨大なブラジル国旗がはためいていたりします。
これらの一風変わった形の建造物は、ブラジルの有名な建築家オスカー・ニーマイヤー氏が作ったもの。
ほかにもブラジリアでは、教会が有名だったりします。
確かに、美しかった。
もっとも有名なのが、このカテドラル・メトロポリターナ、大聖堂です。
これもオスカーさんの作品。
中に入ると
まるで、空の上に飛んできたかのような錯覚にとらわれます。
淡い青に染められた空気。
眼前には、三体の天使たち。
ゴシック建築による重厚なつくりの教会とは一線を画す斬新なデザインでありながら、どこか神の息吹を感じさせるような世界でした。
美しい。
もう一つ、とても綺麗な教会に行きました。
ドン・ボスコ教会です。
カテドラル・メトロポリターナを空の上だとすると、こちらは海の底に潜ったかのような深い青。
息苦しくなるほど、真っ青な世界。
美しい。
私は、実家を出て新宿で暮らしていた頃、部屋の照明を青くして、まるで深海に沈むような空間にしていました。
このドン・ボスコ教会は、もちろん当時の私の部屋なんかよりもずっと壮大なスケールで、神聖な場所ではあるのですが、そのときを思い出させてくれるような空気が漂っていました。
綺麗だったなー。
このように、ブラジリアにはとても美しい教会がいくつもあるのですが、もう一つ興味深い寺院があります。
「ボア・ボンタージ寺院」です。
この寺院は「既成の宗教の垣根を越えて、みんなで世界の平和を祈ろう」というコンセプトで建てられたのだそうです。
スゴイ。
日本にいるとそんなに強くは感じませんが、やはり海外に出ると宗教のチカラを強く感じます。
ブラジルではキリスト教のチカラが絶大で、この記事でも美しい教会を2つ紹介したように、いたるところに教会が建っています。
すごくきらびやかで、黄金もふんだんに使って、きっととてつもない費用をかけて建てられた教会たち。
さらに世界の別の場所では、宗教の対立によって、今この瞬間も凄惨な争いが起きている。
それはいったい何のためなんだろう。
宗教っていったい何なんだろう。
この旅では、その問いが常にアタマの片隅にあります。
ファンタジー小説にも欠かせない要素だし。
そんな、明確なカタチは無いのに、絶大なチカラを持つ「宗教」。
その垣根を越えて、平和を祈る。
ある意味、究極の理想を目指したのが、このボア・ボンタージ寺院なのです。
寺院に入ると、案内担当者が声を掛けてきて、靴を脱ぐように説明されます。
ここは、土足禁止。
みんな裸足です。
もしくは、こんな簡易的な靴下を履くよう促されます。
私は靴下を借りました。
続けて、案内担当者が「ガイドブック、ポルトガル語と英語はどっちがいい?」と聞いてきました。
私が冗談のつもりで「日本語はありますか?」と言ってみたら、なんとありました!
言ったコッチがびっくりだよ!笑
さすが宗教の垣根を越える寺院、言葉の壁をも越えていくのか……!!
ここは寺院なので、世界の平和をお祈りします。
しかし宗教の垣根を越えるということは、どんな様式で祈るんだろう? と思って見ていると
靴を脱いで、みんなグルグル回っています。
床に、白と黒の螺旋が描かれていますね。
それに沿って歩いているのです。
はじめは黒の線の上を歩いていき、中央で白の線にスイッチします。
案内担当者によると、まっすぐ行けば短い距離なのにあえてグルグル回るのは、困難な道を歩んでゆく様子を表しているとのこと。
螺旋の中央まで来ました。
この頭上には
世界最大の水晶の結晶体が設置されているのだそうです。
この巨大な水晶によって、祈りの力が増幅されます。
白の螺旋を抜けるとこの碑の前に辿りつくので、祈りを捧げます。
みんな仲良く、世界が平和になりますように。
スゴイ寺院だなーと思っていると、奥には色々な展示物などがありました。
各国の言葉で、世界平和を祈る旨が書かれています。
日本語のガイドブックがあるくらいだから、日本語も書いてあったりするのかな? と裏側に回ってみると
ッ!!!
これ、色々なところで見かけるけど、そういう意味だったのか!!
漠然と「なんかアヤシイ新興宗教の類だろうなー」くらいに思ってたよ。
そうだったのかー、知らなかった。
無知でスミマセン。
宗教の垣根を越えて、世界の平和を祈る。
それは崇高な理念だし、素晴らしい考えだと思います。
とはいえ、この寺院も相当な金額をかけて建てられたものだろうし、ましてや世界最大のクリスタルなんて代物まであるし、その費用がどんな風に捻出されたものか、私は知らない。
世の中には多種多様な考え方があって、このボア・ボンタージ寺院とその理念が、絶対的に正しいものだとは思わない(そもそも「正しい」って何だろうね)。
それでも、色々なことを考えさせられる場所でした。
陽が落ちて、バスターミナルに帰還。
ブラジリア、「人工都市」という言葉の響きからして全然期待してなかったんだけど、来てよかった。
次に向かうのは、ブラジル東部の大都市・サルバドール!