それは懐古か、反逆か?

こんにちは、ひでです。

4月5日、のりと一緒に馬に乗ったあと、六本木ヒルズで開催されていた「ラファエル前派展」に行ってきました。

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私は美術の知識はまったく無いので、「ラファエルゼンパってなんのこっちゃ?」状態。
以下、公式サイトから説明文の一部を引用しますね。

(引用ココから)
1848年、ロンドン。ジョン・エヴァレット・ミレイ、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハントを中心とする若い作家たちは、ラファエロを規範とする保守的なアカデミズムに反旗を翻し、それ以前の初期ルネサンス美術に立ち返るべく「ラファエル前派兄弟団」を結成しました。古典的な形式や慣例にとらわれない彼らの芸術運動は、英国のアート界にスキャンダルを巻き起こしました。
(引用ココまで)

んー、これだけじゃ分かりにくいか。
ド素人の私の解釈なので、間違ってるかもしれませんが……かみ砕くと、1848年、ロンドンの一部の若い作家たちが「最近、ラファエルさんの真似ばっかりしてる保守的な奴らが多くね? 美術ってのはそうじゃねえんだよ、もっと昔は違ったんだよ! 俺らはラファエルさんより前の人たちをリスペクトするぜ!」と言って、革新的なアートを生み出した、と。
ラファエルさん(ラファエロさん? どっちの表記が正しいんだろう?)よりも昔の流れをくんでいるので、ラファエル前派と呼ばれているわけですね。
今回の記事タイトル「それは懐古か、反逆か?」というのは展示会のキャッチフレーズなのですが、そう考えると理解できると思います。
ラファエルさんを規範とする現体制に対する「反逆」の側面と、ラファエルさん以前の源流に立ち返る「懐古」の側面、2つの側面があるということです。
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美術館に最後に行ったのがいつだったか思い出せないくらいに美術オンチの私ですが、それでもド素人なりに胸に響く絵が、いくつかありました。
その中でも、特に2枚の絵が印象的でした。

まずは、これ。
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ジョン・エヴァレット・ミレイの「オフィーリア」(画像はWikipediaより)。
本記事の最初に載せた展示会の看板の写真にも使われているように、ラファエル前派の代表的な作品だそうです。
それだけに、会場内でも黒山の人だかりで、なかなか近づけない状態。
遠巻きに見たり、斜め後ろから見たりはできるけど、近づいて真正面で見るためにはかなりの時間を待つ必要がありました。

でも「この絵には、何かがありそうだ」と感じて、辛抱強く順番を待ちました。
体感的には、20~30分くらい待ったような気がします。
いよいよ私の順番となり、いざ真正面に立ってみると。
……ざわっ……。
総毛立つような、まるで絵の中に吸い込まれるような臨場感と迫力。
水の流れ、木々や草花、そしてオフィーリアさんの表情。
順番待ちをしている間も、ちょっと斜めの角度から、ずっと同じ絵を見てはいたんですよ。
でも、真正面に立ったら、それまでとはまったく違う絵を見ているかのように、力強いエネルギーに圧倒されたのです。
あの感覚には、本当に驚いた。

のりも(私の後ろに並んでいた)同じ感想を口にしていました。
おそらく写真や複製品では感じられない、本当の芸術品のみが持ちうる力。
ド素人の私ですら、そのエネルギーを体感することができました。
スゴイ絵でしたよ、マジで。

さて、もう1枚の印象に残った絵が、これです。
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ジョン・エヴァレット・ミレイの「両親の家のキリスト」(画像はWikipediaより)。
聖家族、つまりイエス・キリストと、その両親である聖ヨセフと聖母マリア(+α)を描いた作品です。

中央のチビッコが、イエス・キリスト。
その子に寄り添っているのが、聖母マリア。
イエスの左手を握っているのが、聖ヨセフです。
ヨセフの職業は大工さんだったからこの舞台設定で、一番右端のチビッコが洗礼者ヨハネで、イエスの手の傷が聖痕を暗示してて、あとは……とかいう詳しい話は、いまは置いといて。

この絵の何がスゴイって、あまりにも写実的なところなのです。
当時の「聖家族」を描いた絵は、もっとデフォルメされて、神聖さをアピールしている絵がほとんど。
後光が差してたり、天使が取り巻いてたり、頭の上に輝く輪っかが付いてたりするのが普通でした。

それなのにこの絵は、当時としては異常なまでにリアル。
聖母マリアは、おでこに皺が刻まれて、ただのオバサンのようです。
聖ヨセフにいたっては頭が禿げ上がり、もはやロッベンみたいになってるよ。
Arjen_Robben
バイエルン・ミュンヘンの「アリエン・ロッベン」(画像はWikipediaより)。

まぁそんなわけでこの「両親の家のキリスト」という絵は、当時の人々から「こんなん聖家族じゃない! キリストを馬鹿にしてんのか!」とめちゃくちゃ叩かれたのだそうです。
それでも描ききって発表したってのはスゴイよね。
文字通り芸術に命を賭けてないと、こんな絵は発表できなかったんじゃなかろうか。
そんなことを感じて、この絵そのものというよりも、その背景と心意気に胸を打たれました。

最後はちょっと時間切れで、すべての絵をじっくり鑑賞することはできませんでしたが、とても楽しかったです。
たまには芸術鑑賞ってのもイイネ!
世界各地の有名な美術館にも、行きたくなりました。

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