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ワールドカップ決勝の日

こんにちは、ひでです。

2014年07月13日。
ブラジルワールドカップ、決勝の日。
その日を、決勝戦が開催されるリオデジャネイロで迎えることができました。

またこの日は、世界最大の祭典を祝おうということで、午前中から宿「Rio Hostel」主催のバーベキューがありました。
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リオ、しかもFAN FEST会場至近の安宿ということで、ここには実にさまざまな国籍の若者が集っていました。
上の写真一枚だけでも、ブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルー、イスラエルと5カ国の人がいます(足のチラ写り含む。笑)。
すごいねワールドカップ、ひいてはサッカーというスポーツの持つチカラ。

あ、ここで紹介しちゃおう。
早めに帰国しちゃったからこの日のBBQには不参加だったけど、私がこの宿で最初に仲良くなったのは、フランス人のおじさんでした。
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左のおじさん、名前はフィリップ。
一階の湿度の高い部屋で、私とルームメイトでした。

ちなみに右の女の子はジョイスと言って、私の前職と同じく記者だそうです。
彼女からはとても重要なインスピレーションをもらったのですが、それはまた別の記事で紹介しますね。
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フィリップが、フランスvsドイツを観るためにマラカナンへ出かける直前の写真。
この試合でフランスは敗退しちゃったんだけど。
マラカナンでワールドカップの試合を観る……きっと、もう一生できない貴重な経験だよね。

フィリップはお医者さんなのですが、私と同じく湿気にやられて、咳に悩まされていました。
彼がフランスに帰った後、私は彼のアドバイスに従って、二階の風通しの良い部屋に移動。
そのおかげで、だいぶ咳はおさまりました。

……っと、閑話休題。
「ワールドカップ決勝の日」の話に戻りますね。

午前中から始まったBBQの会場は、宿の隣の建物でした。
そこから宿を見ると、こんな感じです。
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屋根にいろいろ載ってるのは、ご愛敬。笑

晴天だったのが良かった!
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ビールもばんばん来るよ!
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彼は、この家のおじさん。

肉もばんばん焼くよ!
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イングランド人の彼が、勤勉に働いていたのが印象的でした。
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私は料理ができないので、あまり手伝えず……ごめんよ。

かわりに飲むよ!
ってヒドイね……まぁ、日本にいるときと一緒か。笑
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決勝進出国・ドイツのおじさん、ライナー。
彼とはこの日、行動をともにすることになります。

こっちは対戦相手、アルゼンチンの三人組。
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その手にあるのは……なんと決勝戦のチケット!!
1枚10万円、3枚を30万円で手に入れたそうです。
記念に撮らせてもらいました。
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すげー、プラチナチケットだよ!
どきどき。

やっぱり地の利、アルゼンチンサポーターのほうが断然多い!
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まぁ、この写真に写ってるアルゼンチン人は、実は一人なんだけどね。
つーかライナーも混ざってるし。笑

そろそろ時刻はお昼。
みんな起きてきて、だいぶ盛り上がってまいりました!
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数えてみたら、この写真の中に10カ国以上の人が写っています。
イイネ!

……というところで、私は離脱。
ドイツのおじさんライナーと、アルゼンチンの3人と一緒に、決勝の舞台・マラカナンに向かいました。
私とライナーはチケットを持っていませんが、「せっかくこの特別な日にリオにいるんだから、ダフ屋を狙ってマラカナンまで行ってみよう!」と意気投合。
ダメモトで、とりあえずスタジアムまで行ってみることにしました。

リオの地下鉄の駅は、このお祭り騒ぎ!
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えらいこっちゃ。

この日の地下鉄は特別運行で、人混みによる混雑を避けるため、マラカナン直近の駅には停車しないようでした。
スタジアムに行く人は一つ前の駅で降りて、徒歩で行かなければなりません。
ということで、下車。
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マラカナンまではまだだいぶ距離がある場所ですが、なんともうここに最初のゲートが設置されていて、チケットを持っていないと先に進めなくなっていました。
まさに厳戒態勢。
アルゼンチンの3人とは、ここでお別れです。
私とライナーは、ここでダフ屋を探すことにしました。

ここで私には、3つの問題がありました。
1、トイレに行きたい。
2、現金を持っていない。
3、チケットを持っていない。

1は、地元の人にならって、そのあたりの物陰で解決しました。笑
2は、駅周辺をウロウロして、ガソリンスタンド内にATMを見つけて解決。
これで手頃なダフ屋を見つければ、すぐにチケットを買うことができます。
さぁ、3つの問題のうち、早々に2つを解決!
あとは3だけだ!

と、ライナーと一緒にダフ屋を探したのですが、見つかりませんでした。
なかなか、そう都合よくはいかないものです。
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周辺には、我々と同じようなダフ屋狙いの人がたくさんいました。
日本のテレビ局(やべ○ちFCの局)の4人組も、大きなカメラや集音マイクを担いでウロウロしていて、話しかけてみると「チケットが、責任者の1枚しかない。もう少しスタジアムの近くの映像を撮ろうと思って来たのに、まさかこんな手前にゲートがあるとは……」と困っていました。

さらに、ここで悲劇が。
宿で一緒だったアルゼンチン・トリオの一人が、戻ってきたのです。
話を聞くと、なんと「チケットがニセモノだった」と。
スタジアムの自動改札みたいな機械で引っかかり、発覚したのだそうです。
なんと……。
フェイクチケットに気をつけろ、みたいな噂はかねがね見聞きしていたけど、こんな身近で実際の被害を目撃することになるとは……。
被害者の彼は「それでも、もう一回スタジアムの近くに行ってみるよ」と言い残して、再び雑踏の中に消えていきました。
アディオス、アミーゴ……。

うーむ、テレビ局でもチケットを探してるくらいだし、運良く見つけてもニセモノの疑いもあるんじゃ、これはちょっと難しそうだ。
そろそろビーチに戻って、FAN FESTで試合を観るのがいいかね。
と見切りを付けて、最後にライナーと記念撮影。
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遠くにマラカナンが見えています。
うん、スタジアムはまた後日、あらためて見学に来るとしよう。
さらばマラカナン!

結果だけ見ると無駄足に終わったのかもしれないけど、ライナーとはすごく気が合って、とても楽しかったです。
終始、「俺たちは3つの問題のうち、2つも解決したんだ! 惜しかったな!」と大笑いしていました。
地下鉄の中でも、こんな写真をパシャリ。
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そのへんに落ちてた紙切れを拾って「これ、もしかしてチケットじゃない!?」とおどけるライナー。
違います。笑

地下鉄がFAN FEST会場の最寄り駅に近づいた、そのとき。
事件が起こりました。
私の、革のベルトポーチのチャックが開いているのです。
えっ……!?
あわてて中身を確認すると……無い。
入れてあったタブレット「NEXUS7(2012)」が無くなっている。
おいおい、まじかよ!?

2つ上の写真を見てもらえれば分かるように、革のベルトポーチは左腰の前側にぶらさげていました。
中に入れていたNEXUS7もソコソコの大きさ&重さで、まさか白昼堂々スラれるとは思わなかった。
しかも地下鉄の車内にいる時点では、まだスマートウォッチとのBluetooth接続は切れておらず、すぐそばに犯人がいることは分かりきっています。
すかさずスマートウォッチから「NEXUS7の位置を音楽で知らせるアプリ」を鳴らしてみても、地下鉄の走行音でかき消されてしまい、まったく聞こえません。
慌ててライナーに助けを求めてもどうすることもできず、まわりの人に「俺のタブレット知らない!?」と聞いて回っても答えは得られず、無情にも地下鉄は駅に到着。
犯人と私のタブレットは群衆にまぎれてしまい、Bluetooth接続も途絶えて、ゆくえはまったく分からなくなってしまいました。
スマホに続いて、まさかタブレットまでスラれるなんて……。
スマホ紛失以降、GPSや電子書籍などの多くの機能をタブレットに移行していたため、かなりの痛手。
そして、わずか1ヶ月半の間に、2度もスリに遭ってしまった自分の情けなさ。
ガックリ。

そんな半泣きの私に対して、ここでライナーがかけてくれた言葉をよく覚えています。
「泣くな! お前が無くしたのはタブレットだ、所詮コンピューターだ。また買えばいいじゃないか。腕を失ったわけじゃないし、命を失ったわけじゃない。私は自分の娘にもよく言うんだ、スマホやパソコンはそんなに大事なものじゃないだろうって。元気を出せ!」
その言葉だけでテンションがV字回復したわけではないけど。
とりあえずタブレットのことは後回しだ、ライナーの言う通り、またどこかで調達すればいい。
今はとにかく、一生に一度の「ワールドカップ決勝戦@ブラジル・リオデジャネイロ」を体感しなくちゃ!
という気持ちになれました。
ライナー、ありがとう。

そして辿り着いた、リオのFAN FEST会場。
さすがに正規の会場は満員で、ブラジルvsドイツのときと同じように外側に回りましたが、凄まじい観客の数(感覚的には90%以上がアルゼンチン人)で、波打ち際どころか海の中まで大混雑!
なんとかスクリーンを観られそうな角度へ辿り着いたときには、暗くなっていました。
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つーか、見えねえよ!!

……そう、私は背が低いので、実は決勝戦の内容はほとんど見えませんでした。
手を伸ばして、カメラを高く上げて撮った写真の中で、一番マトモなのがこれ。
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この写真を撮ったときも、後ろから「カメラどけろ、見えねえぞ!」と野次られる状態でした。
えらいこっちゃ。

試合が延長に入ってからも、周囲の観客はますますヒートアップ。
あわや暴動に発展しそうな小競り合いが、そこかしこで起きていました。
このときは、さすがに少し怖かったな。
タブレットをスラれたばかりで精神的にビビってたし、まだダフ屋狙いの現金2,000レアル(≒10万円)とメインカメラを持っていたからです。
荷物と財布を前にガッチリ抱え込んで、がんばって背伸びしながら、前の人の肩越しに試合をチラ見、という感じでした。

試合は、延長後半にドイツのゲッツェが値千金のゴール。
これが決勝点となり、ドイツが優勝の栄冠を手にしました。

残念ながら私は、決勝点が入った瞬間の映像は見えなかったのですが、ライナーが私の腕を瞬間的に強く握ったので、ドイツが点を入れたのが分かりました。
実は彼には、事前に「まわりはみんなアルゼンチン人で興奮してる。点が入っても、ヘタに刺激しないように叫んだりしないでくれ」と頼んでいたんです。
それを彼は守ってくれて、大声を上げたりせず、静かに喜びを表してくれたのでした。

これは恐らく大正解で、試合終了後、アルゼンチンサポーターと思われるケンカ騒ぎや小競り合いが各所で起きていました。
周辺には多くの警官や軍隊が配置されていたので、大きな問題にはなっていないようでしたが、それでもけっこう危なかった。
我々がいたのはFAN FEST会場の外側だから、ちゃんとした照明が無く、かなり薄暗い状況でした。
でも観客はたくさんいて、通勤ラッシュの新宿みたいな人混み。
そんな大人数でみんなでゾロゾロ幽鬼のように(90%以上は敗れたアルゼンチンサポーターなので、肩を落として)歩いていると、何の前触れも無く、いきなりみんなが一方向に走って逃げ出すんです。
オイオイ、何があった!? と見てみると、その反対方向でケンカが起きていて、突き飛ばされたヤツがこっちに転がってきたり、それに追い打ちをかけるために突き飛ばしたヤツがこっちに走ってくる。
周囲のみんなはトバッチリを避けて、一斉に走って逃げる、と。
そんな状況が3回くらいはありました。
なかなかにスリリングな体験でしたよ。

バタバタしながら財布とカメラを守り、何とかビーチを脱出するも、ライナーとは逸れてしまいました。
しょうがない、どこかで晩飯を食ってから宿に戻るか……と考えていると、一人の青年と出会いました。
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彼の名前は、イツオ。
見た目はブラジル人なのですが、日本語がペラペラです。
群馬県の出身で、10代後半まで日本に住んでたとのこと。
歩いてたら、日本語で「日本人ですか?」と話しかけられ、それから少し立ち話をして意気投合した後、そのへんの安食堂で一緒に酒を飲みました。

私が「今日、タブレットを地下鉄でスラれてさ……」と話したら、イツオはもっと激しい強盗に2回も遭ってるらしい。
1回は、車を運転中に信号待ちをしてたら、いきなり助手席と後部座席に3人の武装した強盗が乗り込んできて、銃を突きつけられた、と。
もう1回は、ATMで金をおろして出てきたら、いきなり後ろから何か鈍器のようなモノで殴られて気絶させられ、有り金を持っていかれた、と。
どちらもそんなに大金を持っていなくて被害額はたいしたことなかったらしいんだけど、2回目のときのケガがひどくて、歯がガタガタになっちゃってボルトで固定してるそうです。

そんなバイオレンスな話を聞くと、タブレットをスラれたのなんかまだマシなような気がしてきます。
私が持ってた「NEXUS7(2012)」、カカクコムで見ると1万5,000円くらいの安いやつだし。
ブラジルで買うのはちょっと難しそうだけど、日本の通販で注文して送ってもらうとか、何か方法はあるよね。
……後になって冷静に考えてみると、地下鉄の車内で、あんなに見えやすい場所にぶらさげてたベルトポーチから大きめのタブレットを盗むのって、かなり高度なスリの技術な気もするし。
うむ、スマホをやられたときの経験も含めて、凄腕のスリをキャラクター化してファンタジー小説に登場させてやろう!
と、ポジティブに考えよう。

2014年07月13日。
午前中のBBQに始まり、マラカナンのそばまで行ったり、地下鉄でタブレットをスラれたり、FAN FESTの決勝戦で(試合内容とは違う意味で。笑)ドキドキしたり、最後はイツオに出会ったりと、本当に色々なことがあった日でした。
きっと、一生忘れられない一日になったと思います。
総じて、面白かったよ!笑